のぼり旗をポールに取り付け、注水台で設置した風洞実験レポート
今回の実験は8Lと16Lの注水台を使用して、のぼり旗を設置した転倒実験を風洞実験で試みた。のぼり旗は450㎜×1800㎜のポリエステル100%を使用した。のぼりポールは、一番よく使用されている直径22mm2段伸縮3mの規格を使用した。のぼり旗設置の高さは、よく設置されている平均値で地上から2300㎜の高さに設定した。
8L注水台を使用した風洞実験では平均風速12mでポールが倒れた。平均風速12mは木の大枝が揺れ、傘がさしにくくなり、電線が唸る等の現象が起こる。気象庁では平均風速12mで強風注意報が発令される。
16L注水台を使用した風洞実験では平均風速19mでポールが倒れた。平均風速19mは小枝が折れたり、風に向かって歩けない等の現象が起こる。ポールが倒れる直前では、先にポールが折れてしまうくらいの勢いであった。気象庁では平均風速20mで暴風警報が発令される。
これらの実験結果から20L注水台を使用するとポールが倒れる前に、先にポールが折れ曲がってもおかしくないと思われる。今回の風洞実験では平均風速20mが限界なので、20L注水台に関しては実験を試みず想定の範疇である。
風速で問題なのは瞬間最大風速で、相等風速の1.5~2倍、またはそれ以上になることもある。過小評価して砂埃が立ったり、小さなゴミや落ち葉が宙に舞う等の現象が起こる風速6mの瞬間最大風速は風速12mである。また、葉の茂った樹木がゆれ、池や沼にも波頭がたつ等の現象が起こる風速9.5mの瞬間最大風速は風速19mである。
以上の実験データから、注水台は重ければ安心であるが、まず、通常の状態で使用するのであれば16L注水台を使用していれば大丈夫であると思われる。
強風を常に感じられ、葉の茂った樹木がゆれ、池や沼にも波頭がたつ現象が起こる平均風速8m以上の状態であれば、転倒やのぼり旗が飛んでいく危険防止のために、のぼり旗を風の影響の無い所へ退避させることを勧める。
この、批評は、あくまでも一定の限られた条件の基で得たデータ資料が参考になっており、確証を約束できるものではない。
2014年6月26日 於:日本建築総合試験所